ネット通販で商品を購入したものの、実物がイメージと全く違うというケースも多く、それがネット通販利用者にとっては最も悩ましい問題になっている。阿里巴巴(アリババ)グループの関連企業アント・フィナンシャルサービスグループが開発した個人信用評価システム・芝麻信用はこのほど、ショッピングサイト・天猫と共同で、信用スコアが650点以上のユーザーを対象に、天猫で商品を購入後7日間試用し、満足だった場合決済を行うことができる「信用購」というサービスを全業界向けに開放したことを発表した。天猫に出店している全てのショップはこの機能を導入することができる。北京日報が報じた。
これまでは、実物を見ることができないため、ネット通販利用者は画像や説明、ショップの信誉度レビューを見て判断して購入していた。しかし画像と実物のイメージが違ったり、別の物が送られてきたりというケースも少なくなかった。「信用購」は、ネット通販のそうしたウィークポイントを補ってくれる。淘宝のアプリで「天猫信用購」のページ、または「芝麻信用」を検索し、「信用授権」を申請後、「信用購」を利用するというのがその使い方の流れとなる。商品購入後7日間試用した後、それを購入するか、返品するかを、消費者が決めることができる。
「芝麻信用」は昨年、一部の天猫のショップで「信用購」を試験的に導入し、特に若者の間で好評を博した。「信用購」の利用者の半数は「90後(1990年代生まれ)」のユーザーで、地域別で見ると、北京、上海、広州など一線都市に住むユーザーがメインだった。芝麻信用市場部の趙涵寧・総監は、「これまで、『信用購』の対象となっていたのは、上にコインを1メートルの高さまで積んでも倒れない静音性の高い洗濯機や画面から声が出る大画面テレビ、レーザーナビゲーションシステム搭載のロボット掃除機など、客一人当たりの売り上げの高い商品やユニークな商品などがメインだった。しかし、今はさらに多くの商品でそのサービスを利用できるようになっている」と説明する。
事業者にとって、「信用購」は、新しい客を呼び込むことができるサービスとなる。家電メーカー「美的」の責任者は、「当社の冷蔵庫の旗艦店は昨年の『ダブル11(11月11日のネット通販イベント)』の際、試験ポイントを設置して『信用購』を導入した。現在、『信用購』の利用者は、購入者全体の5%を占め、今年末までに約10%まで増えると予想している」とする。
中国(海南)改革発展研究院・経済研究所の匡賢明所長は、「『信用購』の導入により、注文していたのとは違う商品が送られてくるという問題を解決し、消費者の権益を保護することができるほか、消費を刺激することができる。18年、中国のネット通販市場は約10兆元(1元は約16.62円)規模だった。お金を担保にするのではなく、信用を担保にするということは、凍結されたり、占用されたりしている1兆元以上の遊休資金が新市場に流れ込むということで、消費の高度化を牽引し、実体経済の発展を刺激することができる」との見方を示した。