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基準地価 都心部新築マンションは「ミニバブル」

 都心部の新築マンションは、国内外の資産家や投資家による投資が過熱気味となり、適正な分譲価格より5割以上も高くなるような土地取引が行われるなど、「ミニバブル」の様相を呈している。

 東京建物が29年12月の完成に向け、東京・目黒駅前で開発を進めている地上40階建て分譲マンション「ブリリアタワーズ目黒」は、駅周辺にマンション用の適地が乏しいため希少性が高く、7月から開始した第1期販売では1坪(3・3平方メートル)当たりの平均単価が600万円台という強気の価格が設定された。

 それでも、会社役員や経営者、医師といった富裕層の購入が殺到、完売した。業界内では「700万円台の単価でも同様の売れ行きを示していたはずだ」といった声すら上がる。

 青山や六本木で年内販売予定のある物件は、バブル崩壊後で初めて「坪単価が1000万円を超えるのでは」といった見方が出ている。

 東京23区内ではブランド街だけではなく、一般的なエリアでも勢いが増しているのが最近の傾向だ。

 「今後、似たような土地が売り出された場合、高価格で落とさざるをえない」-。不動産大手の担当者が思わずため息をつくような土地取引の舞台となったのは江東区。本来ならマンションとして商品化した場合、分譲坪単価が230万円程度で済む土地が、360万円程度で売り出さなければ利益を確保できない水準になっている。

 企業業績が好転したことでリストラに伴う土地放出が激減し、デベロッパー(不動産開発会社)間の取得競争が激化したうえ、建築コストが依然として高水準にあるため、「平時には理解できないような取り引き」(デベロッパー担当者)につながっているのだという。

 相続税対策としての小規模な土地の取り引きも活発で、ワンルームマンションの開発が積極的に進められている。主に投資を行っているのは、アベノミクスによる株高でもうけた個人投資家たちだ。

 ただ、そうした開発ラッシュは都心部から離れ、利便性も悪い場所を中心に進んでいる。入居者が少なければ、地価の押し下げ要因につながる恐れもある。

 都心部の需要を支える富裕層も株式市場が一段と不安定になれば、投資活動を控える可能性がある。首都圏の地価動向には不透明な要因が山積している。