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富士山山小屋に噴火対策装備品1000セット 山梨

 富士山吉田口旅館組合は突発的な噴火活動から登山者の安全を確保するため、7月1日の夏山開きを前に宿泊客用にヘルメット、ゴーグル、防塵(ぼうじん)マスクの安全装備品1千セットを準備して、5~8・5合目間の山梨県側山小屋16軒に順次配備している。山開きまでには配備を完了するとしているが、夏山ピーク時には数千人が宿泊しており、不足分については順次追加配備することにしている。山小屋では「登山者が自身の安全のためにも持参してほしい」と呼びかけている。

 昨年発生の御嶽山(長野、岐阜県)の突然の噴火では、噴石の直撃や噴煙に巻き込まれたことで多くの犠牲者が出た。最近では箱根山(神奈川県)や浅間山(長野、群馬県)で火山活動が見られ、夏に多くの登山者でにぎわう富士山の山小屋が万一に備えて登山者の安全確保に県の協力を得てヘルメットなどの装備品を準備した。麓の富士吉田市富士山火山対策室によると、山小屋16軒には宿泊定員数に応じて30~100セットを配備している。登山用に軽量化されたヘルメット、メガネの上からかけることができるゴーグル、粉塵を防ぐマスクの3点を1セットとして準備した。

 26日にこれらの装備品31セットが届いた5合目の山小屋「佐藤小屋」では経営者の佐藤保さん(56)がセット数を確認して、食事部屋のはりにつるして、緊急時に宿泊客が使用できるよう早速準備した。佐藤さんは「うちの小屋は定員80人。約50人分が不足する。全員に行き渡らないため、順次増やしていくが、噴火活動だけでなく、落石にも注意が求められる。登山者自身も安全を確保することを考え、準備して登ってほしい」と話し、宿泊予約を受け付けるさいには「ヘルメットを準備してください」とアドバイスしているという。

 緊急時のヘルメットについては、県が5合目の総合管理センターに1500個を配備している。だが5合目には観光客も多いため、県や富士吉田市は富士登山関連サイトなどで登山者にヘルメットの持参を呼びかけることにしている。