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マンション投資は「2パターン」で考え方を変える!

 最近、にわかに戸建賃貸が注目を浴びつつある。相続対策で、戸建賃貸を提案してくるハウスメーカーもある。せっかく自分の所有している土地の容積率が高いのに、わざわざ容積を使いきらない戸建賃貸という提案が逆説的なように思えてくる。

 本来であれば、目一杯容積率を消化して、アパートを建てた方が良いのではないか。これから建物投資を行う人にとって、容積を消化しきるか、それとも余らせるかは大きな悩みどころである。そこで今回は、不動産投資と容積消化について考えてみることにしよう。

■容積率とは

 土地の価値を決める要素の一つに容積率がある。容積率とは延べ面積の敷地面積に対する建築物の割合である。つまり容積率が高いほど、高層ビルや高層マンションを建築することが可能であり、収益力も高まる。そのため土地の価値も容積率に比例して高くなる傾向にある。

 この容積率については、都市計画法上の用途地域の区分けによって、ある程度決まっている。例えば戸建住宅が建ち並ぶ第一種低層住居専用地域の容積率は100%に指定されていることが多い。

一方で、マンションが建ち並ぶ第一種中高層住居専用地域の容積率は200%に指定されていることが多い。つまり自分の所有地が第一種や第二種の低層住居専用地域以外に指定されていて、かつ容積率が200%以上あれば、5階建て程度のマンションなら建築できる可能性は高い。

■賃貸マンションにおける容積消化

 容積の消化については、分譲マンションと賃貸マンションでは、考え方を変えた方が良い。分譲マンションでは容積率が増えるほど、販売できる床も増えるため、容積は消化しきった方が良い。マンションディベロッパーからすると、分譲マンションは売り切ることで事業が完結するため、販売床が増えるほど収益が上がる。

 一方で、賃貸マンションはどうであろうか。賃貸マンションは賃貸需要との兼ね合いで容積消化をすべきかどうか判断する必要がある。例えば、賃貸需要の弱い郊外の土地で、大きなアパートを建ててしまうと、将来、空室を多く発生してしまうケースがある。空室部分の建設投資額を、他の埋まっている部屋で回収していることになり、投資効率が悪くなる。そのため賃貸マンションの場合は、賃貸床を増やすことが必ずしも収益増加に繋がるとは限らないのだ。

■大型商業施設は未消化が多い

 このように、賃貸事業において容積をあえて未消化のまま投資するという考え方は、プロは良く行っている。一番典型的なのが郊外型の大型商業施設だ。大型商業施設があるところの用途地域は近隣商業地域もしくは商業地域に指定されていることが多い。

 容積率も通常は200%以上が指定されている。そのため高層の商業施設も可能であるが、郊外のアウトレット施設は2階建てに留まっているケースが多い。

 理由としては、郊外の商業施設の賃貸需要は、3階以上は極端に弱くなってしまうことが挙げられる。郊外型の大型商業施設は、来客者にとって1階もしくは2階に店舗があった方が便利だ。よっぽど魅力のある店舗でない限り、なかなか3階以上に上がっては買い物をしないという行動特性がある。3階以上はテナントにとって立地条件が悪いため、賃貸需要が著しく落ちるのだ。

 したがって、郊外の大型商業施設で容積を消化しきるのはリスクがあり、未消化のまま2階で留めているケースが多い。

■容積消化を優先し過ぎないこと

 このように賃貸需要の多寡に応じて、容積を未消化にするという投資の考え方は個人の不動産投資にも求められてくるだろう。賃貸アパートで戸数を作り過ぎてしまうと、後々、本人が借入金の返済で苦しくなる。

 最近は、空室の多い借入金の返済がまだ残っている古いアパートが多い。今後、人口減少社会の中で賃貸需要が低くなることが予想される。容積未消化のまま投資回収を優先する投資は、これからの時代に適しているのかもしれない。