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「退職者向け」金融商品が好条件な理由

 団塊の世代が65歳を迎え退職金の活用に注目が集まっている。男性の平均寿命も80歳を超え、退職後の人生が長くなるにつれ、老後資金の確保が悩みの種になっている人も多いだろう。今回は、老後資金の要となる退職金の上手な運用方法をご紹介しよう。

■退職後はお金に「働いてもらう」ことが必要

 退職後は、お金に働いてもらうことが必要だ。現在、日本は国を挙げてインフレ政策を取っており、総務省が2015年5月29日に発表した消費者物価指数は、前年同月比+0.6%となっている。

 仮に物価が年1%ずつ上昇すると、25年間で1.28倍の物価上昇となる。お金も同じペースで増やしていかなければ、買えるモノ・サービスは物価上昇率の分だけ少なくなってしまう。例えば、今は100万円で自動車を買えるとしても、上記の物価上昇が25年続くと同じ車を購入するのにも128万円が必要となってくる。

 仕事をしていれば、給料が上がることで物価の上昇に対応できるが、給与所得のない退職者は、自分自身の資産を増やすことで物価上昇に対応しなければならない。その面からから運用が大切になってくるのだ。

■有利な退職者向け金融商品を活用しよう

 幸いなことに、日本の大手金融機関は退職金を運用するための、通常の普通預金より条件の良い金融商品を揃えているので、ますはこれらをうまく活用してみよう。

 例えば、三菱UFJ信託銀行の「ご退職者専用プラン」の「定期預金プランB」は、1回あたりの預け入れ金額が1,000万円以上であることを条件に、店頭表示金利に年率0.4%の金利が定期預金に上乗せされる。定期預金は1,000万円まで預金保護の対象となるため、万一金融機関が破綻したとしても、1,000万円の元本とその利息までは預金者に戻ってくる。

 三井住友信託銀行等、その他大手金融機関も、退職者向けに通常より有利な定期預金を扱っているため、各社のホームページから情報収集するのがよいだろう。安全に手堅くお金を増やしたい方には、これらの条件の良い定期預金の活用をおすすめしたい。

 リスクを取ったとしても、より大きく資産を増やしていきたい方には、「定期預金+投資信託」の組み合わせ商品も一考の余地があるだろう。三菱UFJ信託銀行の「投信プラン」は、定期預金と投資信託の組み合わせで1回あたり500万円以上を預け入れ、金額の50%以上を投資信託とすることで、定期預金については当初3カ月、税引き後年4.78%相当の金利を受け取ることができる。

 例えば、500万円を預け入れ、そのうち250万円を定期預金とした場合、3ヶ月後には約29,882円の利息を受け取ることができるのだ。メガバンクで同額を1年預けた際の定期預金の金利は0.025%前後にとどまる中、かなり有利な金利といえるだろう。これら「定期預金+投資信託」の組み合わせ商品も、各大手金融機関で取り扱っているため、自分の利用している金融機関の情報をチェックしよう。

 ただしこのタイプの商品は、預け入れ金額に投資信託を組み入れなければならないため、投資信託の選択には注意が必要だ。運用の知識や経験があれば、自身の許容できるリスクに合わせて適切な商品を選択できるが、金融機関の言われるままに投資信託を購入してしまうと、思わぬ高リスク・高手数料の商品に手を出してしてしまう可能性がある。最低限の勉強はしてから投資信託を選ぼう。

■商品内容を理解した上での活用を!

 退職者向けの商品は、一般的な預金に比べ有利な条件となっていることが多い理由として、大手金融機関は、仕事をリタイアした層の囲い込みを図っているためだ。直近で仕事をリタイアした世代は、不況といえどもまとまった退職金は手に入り、年金もある程度確保される可能性が高い。更に、お金を使って人生を今後も充実させよう、という意欲も持っている。

 金融機関側としては、退職金でまとまった資金を預け入れてもらうことで、その後も資金の運用や相続といったビジネスに繋げ、さらには子や孫の世代まで末永くサービスを利用してもらうことを狙っているのだ。退職者としては、金融機関の思惑や商品内容を理解してうまく活用することで、より豊かな老後を築いていこう。