無料相談受付中

山梨で富士山の日フェスタ 信仰や文化、後世に継承

 2月23日を語呂合わせで「2(ふ)2(じ)3(さん)」の日とした23日、「富士山の日フェスタ山梨2015」(山梨県主催)が富士吉田市のハイランドリゾートホテル&スパで開かれた。記念式典だが、世界文化遺産登録の根拠となった富士山がもたらした信仰、文化に携わる人々の活動報告を中心とした内容となり、富士山の普遍的価値を後世に継承しようという機運醸成の色合いを濃くしたフェスタとなった。

 主催者の後藤斎知事はあいさつで「一昨年6月に富士山は世界の宝になった。静岡県とともに富士山保全の意義を共有して取り組みを受け継いでいかなければならない」と話し、「富士山の日」を保全に向けた取り組みの輪を広げるための重要な日とした。

 富士山リレートークも行われて、富士山を信仰の対象とした富士講の世話をする御師(おし)の家「筒(づづ)屋」の小沢輝展(てるのぶ)さんが「御師料理とおもてなし」について話し、富士講行者は登山前には「4つ足動物の肉は汚れたものとして食べない。以前、ハムエッグをうっかり出したが、行者はハムだけを残した」と秘話を披露した。富士吉田市を起点に活動する「すその路郷土研究会」事務局長の天野安夫さんは富士山2合目近くにあった、女性の登山が禁止されていた時代に女性が入山できるエリアを定めた「女人天上」を古文書の解読によって発見した事例を発表した。また構成資産「河口浅間神社」(富士河口湖町)を中心に活動する「河口浅間まちづくりの会」代表の中村太一さんは、地区民の心のよりどころとなるべきだとする考え方から、子供たちを神社へ誘う導線づくりを進めていると報告した。

 この日のオープニングでは構成資産「北口本宮冨士浅間神社」(富士吉田市)の神楽講が受け継ぐ郷土芸能12座の一部を披露。神奈川県から忍野村に移り住み、富士山を撮り続ける写真家、大山行男さんの作品もスクリーンで紹介された。