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山梨県立考古博物館で特別展 多様な音具の世界300点

祈りや祝いの場で使われたとみられる銅鐸(どうたく)や土鈴(どれい)などの「音具(おんぐ)」を集めた県立考古博物館の第32回特別展「掘り起こされた音の形-まつりと音具の世界-」が、甲府市下曽根町の同館で開かれている。県内をはじめ全国各地の遺跡から出土した多様な音具約300点を紹介。録音で音色を聴いたり、実際に触れて音を出したりすることもできる。

 音具を題材とした特別展は、平成2年に古墳時代に焦点を絞って開いて以来、2回目。今回は、縄文時代から江戸時代にかけて幅広く紹介している。

 縄文時代の音具は、土鈴や土笛、石笛など。土鈴は、内部に粘土玉、小石のほか、焼成される際に炭化した種子が入ったものもある。形状が種子の形をしているものもあり、豊穣(ほうじょう)を祈るまじないに使われたとされる。会場では、韮崎市の坂井南遺跡から出土した縄文時代中期の笛形土偶も紹介。この土偶の内部は上下に穴が通じており、上部の口を指でふさぎ、下部の穴から息を吹き込むと低い音が出る。同館によると、祈りに使用されたとみられるという。

 弥生時代から古墳時代には祭具として銅鐸が用いられたとされる。内部につり下げた部品「舌(ぜつ)」が本体に当たり音を出す。時代とともに小型化し、最終的には埋設されるようになった経緯をたどる展示となっている。

 古墳時代の鈴としては、市川三郷町の大塚古墳から出土した県指定文化財である銅製の六鈴鏡(ろくれいきょう)と鈴釧(すずくしろ)を紹介。六鈴鏡は鈴が付いた鏡、鈴釧は鈴付きの腕輪で、祭祀(さいし)の際に巫女(みこ)が身に付け、鈴の音で邪気を払ったとされる。

 このほか、琴のルーツとみられる弥生時代の一枚板の音具、古墳時代に権力の象徴だった馬を飾った鈴などの鳴り物、江戸時代の土製のおもちゃなども展示。いにしえ人から近世の庶民が音に求めた精神文化の一端を知ることができる。

 24日まで(17日休館)。一般・大学生600円、小中高校生と県内在住の65歳以上は無料。「県民の日」の20日はいずれも観覧無料。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141115-00000012-san-l19