無料相談受付中

上海自由貿易区、進出検討2割以下 日系企業、メリット不明-ジェトロ調査

【上海時事】

日本貿易振興機構(ジェトロ)上海事務所は1日、上海市に9月末開設された自由貿易試験区(FTZ)に関し、上海周辺に進出する日系企業を対象に実施したアンケート調査結果を発表した。FTZでどんな規制が緩和され何が可能になるか具体策が依然不明なことを背景に認知度は低く、拠点設立や事業展開を検討している企業も2割に満たなかった。

 

ジェトロ、上海日本商工クラブ、上海の日本総領事館の3者は同日、上海FTZ管理委員会に対し、アンケート結果を踏まえ説明会の開催など情報提供を求める要望書を提出した。総領事館が個別企業から聞き取った規制緩和要望も添付し、今後の制度設計に日系企業の意向を反映させたい考えだ。


調査は10月、上海を中心とする華東地域の日本商工クラブ会員を対象にインターネットを通じて実施し、299件の有効回答を得た。このうち上海の企業からの回答は233件で、商工クラブ会員の約1割に相当する。

 

上海FTZの認知度は、「よく分からない」「名前だけ知っている」「知らない」が計8割に達した。反対に、期待度では「期待している」が「大いに」を合わせ78%。貿易手続きの簡素化や人民元取引の自由化などを期待する声が多かった。

 

一方、2割強の「期待しない」派からは、「製造業に対するメリットが分からない」「運用面で規制が続く可能性もあり様子を見たい」などの意見が出た。

 

社内でFTZへの対応を検討していると答えたのは17%に当たる51社。拠点設立を具体的に検討しているとの回答は、可能性の検討を含め10社にとどまった。