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中国、年間の抗生物質使用量約16万トン 48%がヒトに使用―中国メディア

中国科学院広州地球科学研究所の研究グループが11日、2013年における中国の抗生物質使用量が16万2000トンで、そのうちヒト用抗生物質が48%にのぼったとする調査結果を発表した。一方で、この数字に対して「正確でない可能性がある」との声も専門家から出ている。楽清日報が17日報じた。

同研究所の研究結果によると、中国東部の抗生物質排出濃度が西部の6倍以上に上るとされており、抗生物質の乱用問題に再び注目が集まった。

浙江大学医学院第一病院の伝染病専門家は「抗生物質の中には環境中で速やかに分解されてしまうものもある。濃度という点のみで出した結論は、正確でない可能性がある」とその数字について疑問を呈した。

この専門家は08年、さまざまなデータを解析した結果として「わが国の抗生物質総使用量は15-20万トンの間。ヒトと動物の抗生物質使用比率は米国と同じおよそ3:7」と発表している。なお、中国における抗生物質使用量が世界の約50%を占めるとの報道もある。

「薬剤耐性が現在世界でもっとも切迫している公衆衛生問題の1つとなっており、わが国の状況は特に厳しい」とこの専門家は語る。英国の研究によると、薬剤耐性菌に対する対応方法が見つからなかった場合、50年には毎年1000万人がこの菌によって死亡し、100兆米ドルの損失が出るとのことだ。また、中国では8万人以上が薬物耐性が原因で死亡しており、現状が改善されなければ50年には同国内だけで100万人が死ぬとされている。

中国における抗生物質問題を巡っては、今年4月に復旦大学公共衛生学院が江蘇省・浙江省・上海市などの8-11歳の児童1000人あまりに対して尿検査を実施、6割近い児童の尿から抗生物質が検出された。また、14年5月には華東理工大学などが「わが国の地表水には68種類の抗生物質が含まれている」との研究報告を発表している。