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この味を守りたい 山梨県の「しょうゆの実」を味わいます。

2013年、ユネスコ無形文化遺産に、和食が登録されました。世界が認めた優れた食文化の中には、時代の変化とともに、失われつつあるものもあります。
和食を見つめ直すシリーズ企画「和食紀行・この味を守りたい」。
山梨県の山あいの集落に伝わる、「しょうゆの実」を味わいます。

山梨・南アルプス市芦安(あしやす)地区の清水 ちま子さん(84)のお宅。
昼食のテーブルには、大豆で作った郷土料理「しょうゆの実」があった。
ネギやシラスをたっぷり乗せて食べるのが清水さん流。
しょうゆの実の仕込みは、天気の良い早朝に始める。
まず、大鍋で、大豆を3時間ほどゆでる。
ゆで上がると、ざるにあげ天日干しする。
清水さんは「太陽に当てると甘味も出るし。豆の粘りを乾燥させるんですよね」と話した。
干した大豆を、こうじと混ぜ合わせ、木箱に移して発酵させる。
発酵の良し悪しを決めるのが温度管理。
清水さんは「こうしてみてわかるんですよ。この中に、ちょっと手を入れてみれば。発酵して、その盛りになると、これよりぬくもりが出てくるんですよ」と話した。
大豆のぬくもりを手で感じ、わらで温度を調節。
「ねばり」が出ないように気をつける。
ちま子さんのしょうゆの実づくり。
それは、60年以上作り続けてきた、経験がよりどころとなっていた。
しかし、これを受け継いでくれる若い世代が、この地区にだんだんいなくなった。
しょうゆの実が作れる人も減ってしまった。
さらに、材料の大豆。
山の斜面が多い芦安地区は、栽培できる作物は限られている。
そのため、多くの農家が大豆を作った。
ところが、収穫期の大豆畑を訪ねてみると、農家・森本照章さん(78)は「サルにやられて、大豆をとることができないからね」と話した。
悪化するサルの被害。
大豆をあきらめる人が増えたことも、しょうゆの実を作れる人が減った理由だった。
大豆を発酵させ始めてから、およそ1週間。
ちま子さんはその間、朝晩、欠かさず大豆に目を配ってきた。
これを水に浸して、もう1週間。
こうして、しょうゆの実は食卓にのぼる。
体に良いとされる発酵食品で、しかも保存ができる、しょうゆの実。
守りたい日本の味だった。

しょうゆの実だが、ちま子さんの周りで作ることができる若い人は、2人しかいないという。
ちま子さんは、何とか伝えていきたいと話していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20141125-00000455-fnn-loc_all