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中国のネット文学の海外市場は70億円規模、海外で大人気に―中国メディア

中国のネット文学を読むというのが現在、多くの海外のネットユーザーの生活の一部となっている。市場調査会社の艾瑞諮詢(iResearch)がこのほど発表した「2020年中国ネット文学海外進出研究報告」によると、中国のネット文学の海外ユーザー数は3193万5000人、海外市場の規模は4億6000万元(約70億円)に達している。グローバル化やデジタル化の波に乗り、中国のネット文学が今、より遠くへ飛び立とうとしている。

■海外市場で無数のファンを抱える中国の作品

「早く更新して!」、「更新を絶対に止めないで!」、「今後のストーリーの行方が本当に楽しみ」。オンライン小説「詭秘之主」のコメントコーナーには、人物の分析、ストーリーの評価、ストーリー展開に関する推測などがたくさん寄せられている。同小説を連載するプラットフォーム・起点国際(Webnovel)には、各種小説に対するコメントが、海外から毎日4万件以上寄せられている。

近年、「中華文化の海外進出推進」関連の対策が追い風となり、多くのネット文学企業が続々と海外に進出し、出版権の授与からオンライン交流・読書プラットフォーム立ち上げなどに至るまで、中国のネット文学の海外におけるPRは既に頭角を現し始めている。

2017年、閲文集団は海外版ポータルサイト・起点国際を立ち上げた。同サイトには中国のネット文学作品900作品以上が集まっており、そのテーマも武侠や玄幻、都市などをカバー。ユーザーは累計で7000万人を超えた。

中国企業が在海外市場において実力を発揮するにつれて、中国のネット文学作品を読むというのが世界の多くの人々の生活の一部になっている。研究報告によると、海外読者の増加率上昇が特に顕著で、2020年の新規海外読者数は前年比で73.7%増となった。その他、海外読者の91.0%はほぼ毎日、中国のネット文学を読み、平均読書時間は117分。有料の中国のネット文学を読む海外ユーザーの割合は87.1%に達している。

中国のネット文学に夢中になり、それにインスピレーションを得て作品を手掛けるようになる海外の読者もいる。「僕の小説のたくさんの要素は、中国のオンライン小説にインスピレーションを得ている。また、人物のインスピレーションも、西遊記などの中国の古典、名著からインスピレーションを得ている」と話す米国テキサス州に住むある男性は、典型的な中国のネット文学の大ファン。「斗破蒼穹」などの作品の影響を受けて、自らオンライン小説を手掛けるようになった。

■中国のネット文学のドラマ化願う声高まる

中国文化という土壌に根を下ろすネット文学がなぜ海外で大人気になっているのだろう?

閲文集団の関連の責任者は、「人々が好むストーリーには共通点がある。ストーリーによって形作られるヒーローの姿、それが示す価値観には、どの国の人も共感できるポイントがあるものだ。中国のネット文学はちょうど人々を温かい気持ちにしたり、奮闘するよう鼓舞したりする物語が特徴で、東洋の特色ある伝統文化の要素が味。それが海外の読者市場にとって魅力となっている」と分析する。

海外の文学作品は、創作から発売までの周期が長く、紙媒体図書は価格も高いため、読書市場のコンテンツは需要と供給がアンバランスな状態となっている。そこに中国のネット文学が到来して絶好調となり、その空白が埋められている。研究報告の調査研究によると、海外読者の87.9%が「海外のファンタジー文学では満足できない時に、中国のネット文学を選んで読む」と答えた。

中国のネット文学はジャンルが豊富で、多様化、精練されているのが創作の特徴。読者の過半数は「中国のネット文学を海外文学と比べた時の最大の長所は内容が想象力に満ちている点」との見方を示す。ネット作家・横掃天涯の作品で、中国の師を尊び、道を重んずるという伝統文化を描写する「天道図書館」は、多くの海外読者の間で高く評価され、人気を博している。ネットユーザー・Hevvehさんは「今までで一番素晴らしい物語。たくさんの独特で面白いストーリーが含まれており、読んでいると引き込まれていく」とコメントを寄せている。

また、「香蜜●●燼如霜(The honey sank like frost、●はさんずいに冗)」などのネット文学を原作としたドラマ・映画が、中国国外でも賞を受賞し、中国のネット文学作品の影響力はさらに多くのグループの人々にまで広がり、文学作品そのものに益を及ぼすようになっている。研究報告によると、ネット文学の作品の映画化、ドラマ化の面で、中国のオンライン小説がドラマ化されることを希望するユーザーが最も多い。