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人民銀の記念貨幣35年で百種類以上 なぜこんなに人気?

中国人民銀行(中央銀行)が12月18日、2020年の訪れを記念する硬貨を発行すると、各地ではものの数秒で売り切れたという。今年に入ってから、人民銀はたびたび記念貨幣を発行し、広く市場の注目を集めてきた。少し前には、初の変形デザイン記念硬貨「泰山コイン」が売り出されてすぐに完売し、額面5元(1元は約15.6円)のところ、今は24元の値がついている。

記念貨幣はなぜこれほど広く注目を集めるのだろうか。発行する目的は何だろうか。記念貨幣の値はなぜ上がったり下がったりするのか。

初の変形デザイン普通記念硬貨はたちまち売り切れ

人民銀は11月28日、文化と自然の両方を兼ね備えた複合遺産として登録された世界遺産・泰山をモチーフとした普通記念硬貨を発行した。額面5元、角が丸みを帯びた正方形、外接円の直径は30ミリメートル、材質は銅合金、発行枚数は1億2千万枚だ。

この硬貨は人民銀初の変形デザイン普通記念硬貨であり、発行されるとすぐに市場から注目された。公式発行ルートの1つである中国建設銀行の公式サイトのデータでは、北京地区で予約を開始すると、わずか10分で予約枚数が248万枚を超え、11月21日午前0時40分の時点で、北京地区ではオンライン予約が予定枚数に達した。予約できなかった人は、朝早く営業スポットまで行って予約するしかなかった。システムでは同日午後3時40分の段階で、北京地区のオフライン予約が予定枚数に達したことが表示された。

「今回の泰山コインは特別で、コレクションする価値があると思った」。こう話す北京市民の梁さんは、かなりの記念硬貨をコレクションしており、西蔵(チベット)自治区成立50周年記念硬貨から酉年記念硬貨まで、いろいろなテーマのコインがそろっているという。「最初の記念硬貨は友だちからのプレゼントで、辰年の記念硬貨だった。自分は辰年なので。それ以来、人民銀行が毎年発行するいろいろな記念硬貨に注目するようになり、気に入ったものや、特別な意味があると思ったものは、1セット買うようにしている」。

記念貨幣とは何か?

記念貨幣は国が世界の、または自国の政治的、歴史的、文化的に重大な出来事、優れた人物、名所旧跡、珍しい動植物、スポーツイベントなどを記念して発行する法定通貨である記念貨幣のことを言う。流通する記念貨幣と流通しない記念貨幣がある。中国では流通する記念貨幣は普通記念貨幣とも呼ばれ、硬貨のものも紙幣のものもあり、材質は銅、ニッケル、亜鉛などの卑金属が多い。流通しない記念貨幣は金銀記念コインとも呼ばれ、材質は金や銀などの貴金属が一般的だ。普通記念貨幣は現行の人民元のもつ役割と同様、額面の金額の価値で流通する。

記念貨幣はどこで発行するか?

「中華人民共和国人民元管理条例」の規定によれば、人民銀は需要に基づいて記念貨幣を発行することができる。記念貨幣のテーマが重要な政治的題材や歴史的題材に関わる場合は、国務院に報告して承認を得る必要がある。発行する30日前に、人民銀は社会一般に向けて公告を発表し、記念貨幣のテーマ、額面金額、材質、デザイン、様式、規格、発行量、発行時期を公表する。

35年で記念貨幣100種類以上を発行

1984年から、中国人民銀行は35年間に及ぶ記念貨幣発行の歴史を歩み、これまでに100種類以上の記念硬貨(記念紙幣)を相次いで発行してきた。このうち、84年10月1日に発行した「中華人民共和国成立35周年記念硬貨」は、人民銀が正式に発行した初の流通記念貨幣で、流通記念貨幣発行の良好な基礎を打ち立てた。

35年間の100種類以上の記念貨幣を詳しく見ていくと、「最も早い貨幣」のほかに、次のような「最も○○な貨幣」が注目される。

発行量が最も少ない記念貨幣——88年9月20日に発行された「寧夏回族自治区成立30周年記念硬貨」は、人民銀がこれまでに発行した流通記念貨幣としては最も発行枚数が少なく、1セット1枚、発行量は156万枚にとどまった。

額面が最も小さい記念貨幣——87年11月20日に発行された「第6回全国運動会流通記念硬貨」は額面1角(0.1元)で、これまでに発行された1枚・セットの額面が最も小さく、規格が最も小さく、金属の重量が最も軽い記念貨幣セットとなった。

こんな記念貨幣もある。直径が最も大きい記念貨幣は93年の「希少動物特別記念硬貨」で、直径32ミリメートルだ。社会福祉のテーマが最も際立つ記念貨幣は94年10月26日発行の「希望プロジェクト実施5周年記念硬貨」で、中国語と英語で「希望プロジェクト」と刻まれている……

今年11月末に発行された泰山普通記念硬貨がこれほど人気になると、「ダフ屋」たちも乗り出してきた。額面5元の硬貨が今ではECプラットフォームで最高1枚24元にもなり、上昇幅は300%を超える。束1本20枚は240元の値がついていたのが、さらに値上がりして600元になり、5束3500元の高値で売られるケースさえある。

泰山コインはなぜこれほど人気なのか。記念硬貨の収集愛好家は、「一つには額面が小さいこと、発行枚数が少ないこと、市場の資金圧力も比較的小さいことから、収集のハードルが低いことがある。また一つには額面が小さい記念貨幣ほど投機の対象になりやすいことがある。また発行量が少ない、予約の機会が少ないといった要因も、泰山普通記念硬貨の希少性を高め、価格を押し上げたとみられる」と分析した。

人民銀の関係者は、「記念貨幣の回収プロセスは、記念貨幣の市場における良好な発展を維持するための重要な前提だ。コレクターにとってみれば、記念貨幣が流動資金に交換できなければ価値の大部分が失われるといえる。しかし、今はまだ記念貨幣の正式な回収ルートは構築されていない」と述べた。