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日本の経済モデルは崩壊したのか、「悲観的な感情が誇張されている」と専門家―中国メディア

2018年11月14日、中国新聞網によると、元英金融サービス機構(FSA)長官で、現在は英シンクタンク、インスティテュート・フォー・ニューエコノミックシンキング会長のアデア・ターナー氏は、「日本の経済モデルはすでに崩壊した」とする見方があることについて、「悲観的な感情が誇張されている」と指摘している。 

ターナー氏は、中国誌「中国新聞週刊」への寄稿で、「ほとんどすべての人が、日本の経済モデルが崩壊したと判断している」とし、「1991年以降の平均成長率はわずか0.9%であるのに対し、それ以前の20年は4.5%に達していた。緩慢な成長に加えて、巨額の財政赤字やほぼゼロの物価上昇水準により、政府債務残高のGDP(国内総生産)比は50%から236%にまで上昇した。アベノミクスは物価上昇率を2%引き上げると約束したが、5年間のゼロ金利と大規模な量的緩和でもこの目標は達成されなかった。1.4の出生率とほぼゼロの移民は、日本の労働力人口を今後50年のうちに28%減少させ、高齢者の医療保険を持続不可能なものにし、現在の対GDP比4%の財政赤字を大幅に高める可能性があることを意味している」とした。

一方で、「しかしそれでも、日本のモデルが失敗したという現在の一般的な認識は依然として間違っている可能性がある」とし、「日本のGDP成長率は多くの先進国に後れを取っており、人口の減少に伴いこの傾向は続くかもしれない。だが、人類の幸福と利益にとって本当に重要なのは1人当たりGDPだ。日本の2007年以降の10年間のこの指標の年間成長率は0.65%に達している。これは米国と同水準であり、英国の0.39%やフランスの0.34%より高い。世界最高の生活水準とされる国としては悪くない」とした。 

また「失業率は3%未満であり、今日の日本経済は、ほぼすべての国と比べても劣るものではない。世界最低の犯罪率は、日本の社会モデルに得るところがあることを証明している。観光業も盛んで、外国人観光客数は過去15年間に600万人から2000万人に増加している」とした。 

さらに「政府債務残高のGDP比は236%だが、政府所有の金融資産を控除すると、国際通貨基金は152%より低い水準と見積もっている。日本銀行は日本のGDPの90%に相当する国債を保有し、最終的に政府から受け取った債券に対する利子を政府に返還している。公的金融資産と日本政府および国民が実際に負担するすべての債務を控除すると、債務水準はGDPの約60%を占めるにすぎない上に、安定を保っている。財政赤字が数年間高止まりしたとしても、この債務水準は継続可能だ」とした。 

そして「仮にある国の政府債務残高のGDP比が250%で、純負債が150%で、中央銀行が債券の100%を保有しているとすると、正味負債は50%だ。さらに物価上昇率と実質成長率がそれぞれ1%で安定していると仮定すると、名目GDP成長率は2%だ。債券利回りを2%(日本は0.1%)と仮定すると、財政赤字はGDPの4%に相当し、総赤字は5%で、これらの負債比率は年々安定している。これは基本的に日本の現状だ。世界中の債券の買い手が、こうした持続不可能のように見える行動にパニックになるのではなく、依然として利益がゼロよりわずかに高い国債を買うために並んでいる」とした。 

その上で、「日本の見通しに関する一般的な悲観感情は、実際には著しく誇張されたものだ。多くの国にとってみれば、日本と似たような状況に遭遇するとしたらそれはむしろ慶事なのだ」とした。