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中国経済、「消費減少論」は成り立つか―中国メディア

2018年10月22日、環球時報は、中国で消費が減少しているかどうかについて分析する記事を掲載した。 

記事は、「最近中国ではザーサイやカップ麺など低価格商品の売れ行きがよく、タクシーではなくシェア自転車をよく利用し、旅行に行っても土産をあまり買わないなどの傾向があるため、消費が減少したと多くの人が考えるようになっている」と紹介。しかし、実際にはそうではないと論じた。 

記事は、「安物の代表と言われてきたザーサイやカップ麺は、近年ではレベルアップしている」と指摘。例えば、カップ麺大手の康師傅は、高価格帯の商品は売り上げが伸びているが、低価格帯の商品は売り上げが落ちているという。中国(南海)改革発展研究院経済研究所の匡賢明(クワン・シエンミン)所長は、「合理的な価格で、最も適切な商品を購入し、理性的に消費し、より賢い生活をするようになった」と分析し、「消費減少ではなく理性的でエコな消費をするようになった」としている。 

一方で、実際に消費の増加率が減少していると反論する声もあると記事は紹介。今年の3四半期の消費品売上額は前年比で9.3%増だったが、これは昨年の10.4%と比べると減少している。しかし、国家統計局の毛盛勇(マオ・ションヨン)報道官は、「9%以上の増加は高い方。(今年の)3四半期の最終消費支出が経済成長に貢献した割合は78%で、これは昨年同期比で14%も上昇した。これらの指標を総合的に見ると、消費増加率は高く、消費の貢献は上昇していると言える」と語ったという。 

中国商業聯合会の姜明(ジアン・ミン)会長も、消費は中国経済成長の重要な推進力になっているとの見方を示している。同会長は「一昨年までは二桁増だったのが今では一桁増になったため、消費が減少したという人もいるが、実際にはその逆で消費のレベルが向上した」とし、「一例として、人々はより良い住居に住むようになり、自動車が大衆生活に浸透し、体験式の消費が増加し、家電の種類が増えてロボット掃除機が家庭に入るようになったことなどは、すべて消費レベルの向上を示している」と論じた。 

さらに毛盛勇報道官は、17年の中国のエンゲル係数が初めて30%を下回り、今年の3四半期は28.5%と前年比で0.7ポイント減少したことを指摘。サービス消費が消費全体に占める割合も上昇しており、化粧品やスマート家電などの現物消費も増えていて、映画や旅行、美容、健康などにお金をかける人もますます増えていると述べた。 

記事はこれらを受け、「人々の消費はレベルアップしているのが事実である」と主張。「消費減少」を声高に叫ぶ人がいる理由について、中国人民大学財政金融学院の趙錫軍(ジャオ・シージュン)副院長が、「新しい単語を見ると、多くの人はその流行に乗るだけで、自分自身が経験しているとは限らない。多くの消費者は世論や他人の見方に左右され、自分で明確な判断ができていない」と語ったことを紹介した。 

さらに、北京大学経済学院の曹和平(ツァオ・ホーピン)教授は、「消費減少の前提は平均収入が減少することだ。しかし、わが国の世帯収入の増加は経済成長と基本的に同期している。これでなぜ消費が減少したと言えるのか?」と疑問を投げ掛けたという。