無料相談受付中

富士山“やっと”薄化粧 初冠雪、昭和31年と並び最遅 山梨

 26日に初冠雪が観測された富士山。甲府地方気象台によると、今年の初冠雪は前年より15日、平年より26日それぞれ遅く、明治27(1894)年の観測開始以来、60年前の昭和31年と並んで最も遅い観測となった。同気象台は「9月の気温が高めに推移したことが原因」と話している。初冠雪は、甲府盆地のほか県北の韮崎市などでも確認されており、秋の深まりを告げる富士山の薄化粧をカメラに収める人の姿が県内各地でみられた。

 同気象台は26日午前6時半すぎに、富士山の初冠雪を発表した。気象庁の地域気象観測システム(アメダス)の観測では、この時点で山頂は氷点下7・4度。ただ、すでに晴れており、雪は前日深夜の時間帯に降り積もったとみられる。

 初冠雪の基準は、同気象台が肉眼で「山肌に雪が積もったことが見えたとき」。9月25日にも積雪があり富士吉田市が「初雪化粧」を発表したが、甲府では確認できなかった。

                   ◇

 富士山と河口湖が望める御坂峠(富士河口湖町河口)には、初冠雪を知った人たちが次々に訪れ、雪化粧した霊峰の眺めを楽しんでいた。

 甲府市から妻と来たという60代の男性は「ニュースを見て早速来た。よく晴れているので、とても眺めがいい」と笑顔を見せた。

 近くの飲食店「天下茶屋」の武蔵正直店長(55)は、「今年は本当に遅かったね。9月の降雪のときは山頂がうっすらと白くなったが、すぐに消えてしまった」と話した。

 周辺の木々は、わずかに色づき始めており、武蔵さんは「これからが紅葉のシーズン。観光客もたくさん訪れるだろう」と深まろうとする秋に期待を込めた。

 26日の県内は、甲府で日中の最高気温が9月下旬並みの24・6度に達した。同気象台では「11月は晴れの日が多く、気温も平均10度前後の平年並みに推移するだろう」と見込んでいる。