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日本の産業は衰退? 真相は黙々と「未来へ投資」―中国紙

世界では現在、第4次産業革命が盛んに展開されており、「科学技術立国」を基本的な国策の一つとする日本も、最新のハイテクの研究開発、改革を加速させて進めている。中国青年報が伝えた。 

8月、安倍内閣は28兆1000億円規模の超大型経済対策を閣議決定した。この対策の効果をめぐっては、日本国内外でさまざまな見方が飛び交っているものの、日本の未来の科学技術と産業に着眼した関連の内容が特に注目を集めている。 

このプランは、「未来への投資の実現」と称される経済対策で、柱の一つとなっている「21世紀型のインフラ整備」には、10兆7000億円の資金が投じられる。うち、6兆2000億円は財政措置に回される。第4次産業革命やモノのインターネット(IoT)、知的財産戦略などに明確に言及し、人工知能(AI)、素材開発、宇宙産業、エネルギー産業などの分野における基礎研究の充実を強調し、安倍政権が産業技術と能力の革新に力を入れ、国の核心的競争力を向上させるための決意を固めていることが十分に現れている。 

同時に、日本の企業界が産業研究開発において力を入れるポイントも少しずつ変化している。まず、研究開発に投じられる資金の増加ペースは緩まっているものの、明らかに「未来の分野」に重点的に投じられている。日本メディアの報道によると、2015年、日本の企業約270社の研究開発費の総額は12兆2000億円を超えていた。16年の研究開発予算も前年比2.3%増となっている。増加幅は縮小しているものの、日本の経済戦略が深刻視される中、7年連続の増加となっている。日本の企業の研究開発費ランキングのうち、トップに立っているのはトヨタ自動車で、1兆700億円。また、上位10社はいずれも4000億円以上となっている。研究開発費が重点的に投じられている分野を見ると、食品、医薬、バイオなどが縮小しているのに対して、機械やエンジン、造船、土木エンジニアリング、材料、自動車、部品、IT、エネルギー、人工知能(AI)、ハイセンサー、ロボットなどが最も増加している分野となっている。 

次に、研究開発活動を見ると、研究開発拠点の新増設先として海外より日本国内を重視する動きが広がっている。「日本経済新聞」の最近の報道によると、同紙が主要企業に実施した16年度の「研究開発活動に関する調査」では、4社に1社が、16年度以降に国内の拠点を「新設、増強、あるいは拡充」すると回答したという。国内拠点を新設・増強する理由で最も多かったのは「中長期的な事業の芽を育てる」で、59.5%だった。 

日本政府は、産業革新と技術研究開発政策のコンセプトをアピールしている。6月1日、外務省と茨城県などが連携し、標記セミナー及びレセプションを、都内の外務省飯倉公館において開催した。関連の専門家はプレゼンテーションの中で、「日本は現在、産学官が一体となり、科学技術の一大拠点となっている茨城県つくば市を革新力と競争力に富む日本版シリコンバレーにしようとしている。好条件と待遇により、日本の新たな産業革命に、世界で一流の科学技術者が集まってくることを強く期待している」と語った。その他、日本政府は、今年第3四半期(7-9月)の国民総生産(GDP、改定値)の発表を12月に予定しているが、研究開発費と付加価値を初めて加算する可能性があり、その規模はGDPの3%に達する見通しだ。 

▽筆者の観察 

近年、日本の産業界では、大手企業の巨額の赤字、事業規模の縮小、海外企業に買収されたなどの情報が絶えず、「日本の産業衰退論説」が一時強まった。しかし世界3位のGDPを誇り、世界の産業界で数十年間先頭を走ってきた先進国である日本の産業発展の底力を過小評価するのは、どうであっても賢明なことではない。 

そして、日本は、奮起して富強をはからなければならない時ほど、控え目な姿勢をとる国だ。日本は今も、自分たちの伝統を守り、技術の研究開発に始まり、生産販売も行い、市場を占拠し、最終的に知的財産権を手にする。国際産業チェーンやバリューチェーンを独占していたとしても、全て黙々と行っているため、世界の資産が自称「資源不足」の日本に絶えず流れ込んでくる結果になっている。日本の産業が科学研究において重大な成果を収めた時も、日本の政府の官僚や科学研究機関は、記者の前に姿を現すことがあっても、二言三言、淡々と言及するだけで、盲目的に自信過剰になったり、自分の手柄としたりすることは決してない。また、日本の主流メディアも大げさに報じたり、背景にある秘密を暴露したりすることはなく、不足を指摘したり、アドバイスを送ったりすることの方が多い。 

安倍政権の産業や科学技術革新に関する戦略・政策は、中国、ひいては世界の第4次産業革命と競争の動向を十分に把握した上で確立されている。安倍首相が掲げる目標を見ると、世界トップクラスの産業科学研究者や独創的な技術であれば、金に糸目をつけずに獲得しようとしていることが分かる。財産を使い果たすことになっても、未来の世界産業・科学技術のリーダーの地位は手に入れたいということだ。