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中国でスーパーが閉店ラッシュ!ヨーカドーも6店、原因は?―中国紙

北京の亜運村にある漂亮ショッピングセンターが最近、1ドル(約100円)で売却され、百盛(PARKSON)太陽宮店やイトーヨーカドー十里堡店も来月に閉店することが発表され、閉店する実店舗のリストに名を連ねることになってしまった。業界内では、「総合スーパーは今年、過去最大の閉店ラッシュを迎える」との予測も出ている。小売業には本当に厳冬が到来しているのだろうか?実店舗を構えるビジネスは今後、どこへ向かうのだろう?北京青年報が伝えた。 

■総合スーパーの閉店ラッシュ 
「漂亮ショッピングセンターが15億元(約225億円)の負債を抱え、『華訊』に1ドルで売却された」というニュースがこのほど流れ、業界に衝撃が走った。華訊は今月19日、「華訊が全額出資する、傘下の華生控股有限公司が、Bonroy International Group Limitedが全額出資するBonroy Limitedが発行する株式を100%買収し、漂亮ショッピングセンターの所有権を間接的に獲得した。その代価は1ドル」と発表した。 

実際には、現在、経済が全体的に低迷しているのを背景に、小売業も全体的に大きな調整期に入っており、漂亮ショッピングセンターが買収されたのも下り坂を走る総合スーパーの象徴的なケースであるにすぎない。 

今月13日夜、マレーシア最大の総合スーパー・百盛グループは、「全額出資する中国の関連会社の全ての株式と関連の株主債権を売却する」と発表した。メディアの調査では、今回の売却の対象となったのは、百盛グループが間接的に全額出資する関連会社「北京華徳盛物業管理有限公司」であることが分かった。同社が経営しているのが、北京市朝陽区にある百盛太陽宮店で、2010年から今に至るまで赤字経営が続いている。 

閉店するのは、百盛太陽宮店だけではない。今月20日、十里堡にあるイトーヨーカドーも突然、「16年11月1日をもって営業を停止する」と発表した。同店のサービスカウンターのスタッフも閉店することを認めている。突然の閉店の理由について、イトーヨーカドーの関係者は取材に対して、「赤字が続いたのが理由の一つ」と明かしている。 

14年4月末に、イトーヨーカドーは北京望京店を閉め、その4カ月後には北苑店を、12月1日には西直門店を閉めた。そして、15年3月末に右安門店が、今年7月には大興店が閉店した。十里堡店を入れると、元々北京にあったイトーヨーカドー9店舗のうち、残っているのは亜運村店、豊台北路店、三里屯食品館の3店舗だけとなった。

■実店舗がeコマースの波に飲まれている? 
靴屋を経営する安雨さんは、客離れの主な原因は「eコマース(電子商取引)の普及」と指摘し、「私の店で靴のサイズを確かめてから、オンラインショップで買うという人が多い」とその打撃を強く実感している。安さんは、「ネット上で売ると、人件費や家賃、光熱費などがいらないため、負担が小さく、安く売れる。これは実店舗にはできないこと」と肩を落とす。 

安さんが自ら行った調査によると、自分が売っているブランドの子供靴は、ネット上なら1足約50元(約750円)で販売されているという。「でも、私が北京の代理店から仕入れる値段は1足60元(約900円)。私はそれを90元(約1350円)で売っているから、もちろん『高い』と言われてしまう」。しかも、実際にはその値段でも、実店舗なら利益が出ない。利益率を33%で計算すると、安さんの店の売り上げ高が2万元(約30万円)だったとしても、利益はわずか6600元(約10万円)で、家賃を払うと人件費が足りなくなる。そのため、北京の代理店と何度も交渉しているものの、成果なしの状態が続いているという。 

総合スーパーは、本当にeコマースの波に飲み込まれ、生存が難しくなっているのだろうか?中国連鎖経営協会の関連の責任者は取材に対して、「実店舗が閉店しているのは、eコマースの波だけでなく、実体経済の成長が乏しいことに加えて、人件費、家賃、税金などが高くなり、元々少なかった利益がさらに少なくなっているのも原因」と説明する。 

ある業界関係者は、「総合スーパーの調整は適者生存の自然法則に沿っており、普通の市場行為。長期的に見ると、総合スーパーはこれからも存在し、今は変動の期間といえる。今後、体験型ショッピングが中国の小売業の今後の発展を担う形態となるだろう。しかし、総合スーパーは今後も、ショッピングセンターや大型商業施設とオフィスビルの複合施設、アウトレットなどの業務形態を取るだろう。市場のニーズに適応さえすれば、これらの形態も合理的だ」との見方を示している。 

中国連鎖経営協会が発表している中国のチェーン店トップ100の統計によると、15年、トップ100に入った企業の売上額は、前年比わずか4.3%増の2兆1000億元(約31兆5000億円)で、成長率が過去最低となった。総合スーパーだけを見ると、マイナス0.7%増と、マイナス成長となっている。