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日本家電の衰退と中国家電の台頭、価格競争は海外拡大競争に転換―中国メディア

中国国内家電大手の格力電器、海爾(ハイアール)、美的集団は続々と2016年上半期の業績報告書を発表している。これによると、これら家電業界トップ3社の純利益は軒並み増加したという。だが、美的・格力両社の売り上げは、投資での損失が主な原因で、前年同期比で減少した。中国家電市場の疲弊した状況が続く中、トップ3社は次々とモデルチェンジ戦略に急いでおり、M&A投資が主要選択肢となっている。中国新聞網が伝えた。 

美的は今年上半期、海外業務戦略パートナーシッププロジェクトを3件スタートさせた。投資総額は300億元(1元は約15.5円)を超える見通し。格力はこのほど、珠海銀隆新能源の全株式を130億元で買収すると発表した。携帯電話と新エネルギー車に続き、格力が洗濯機製造業に乗り出すという情報もあり、引き続き多元化の方向に進んでいる。また、ハイアールは今年3月、「U+スマートライフ2.0戦略」を発表し、他社に先駆けスマート家電のAIソリューションを打ち出し、「ハードウエア+ソフトウェア+サービス」モデルへの転換を試みている。同社は今年6月、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の家電事業を55億8000万ドル(1ドルは約103.6円)で買収することを発表し、国際化への足並みを加速させている。 

中国経済網の張捷・評論員は、「家電業の真の拡大は、すでにM&Aの段階に達している。その上、家電業には国際的なチャンスもまだある。日本の家電大手が次々と倒れたことで、中国市場にこの上ない大きな空間が生まれたことは注目に値する。よって、いかに迅速に国際市場を占有するか、スピーディーに戦略を実施するかということは、きわめて重要なポイントといえる。たとえ売上が前年同期より落ち込んでも、利益が上がっているならば、企業にとっては喜ばしいことだ」と指摘した。 

これまで、家電業では、市場シェア拡大のために異常な価格競争を繰り広げられたが、利益は微々たるものだった。故に、このような競争が長く続く訳がない。今や各企業は利益にポイントを置くようになり、海外拡張のための投資を柱とするようになった。これがモデルチェンジの結果といえる。同時に、これらの家電グループは軒並み、家電業に絞った経営から多角化経営集団にシフトしている。各社にはそれぞれ異なる優位性があり、異なる製品の市場資源や各種技術資源を活用して、ブランド拡大を加速させ、さらに大きなプレミアムを得ようとしている。これはまさに合理的な選択肢である。