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中部横断道、開通遅れる トンネル掘削難航 国交省方針

 国土交通省と中日本高速道路は19日、整備中の中部横断自動車道のうち静岡市清水区の新清水ジャンクション(JCT)と山梨県市川三郷町の六郷インターチェンジ(IC)間の約49キロについて、2017年度内としてきた開通時期を遅らせる方向で検討を始めた。

 トンネル掘削工事などに遅れが出ているためで、今後、工程を精査する。同日、山梨県庁で開いた沿線自治体との連絡調整会議で報告があった。同省甲府河川国道事務所と中日本高速によると、新清水JCT-増穂IC間(約59キロ)で計30あるトンネルの掘削工事が難航。想定以上に地盤がもろく、18トンネルで崩落が、5トンネルで湧水が発生し、追加工事を迫られた。さらに、21トンネルの掘削土に自然由来の重金属が含まれ、処理や確認作業が必要になった。

 こうした状況を踏まえ、同事務所などは「開通時期については検討が必要な状況」と判断。整備中区間のうち、新清水JCT―六郷IC間について、17年度中の開通は困難との見通しを示した。一方、六郷IC-増穂IC間(約10キロ)は、当初の予定通り16年度中の開通が見込まれるとした。

 中部横断道の静岡・山梨県区間(約75キロ)は、新東名高速道の新清水JCTと中央自動車道双葉JCT(山梨県甲斐市)を結ぶ高規格幹線道路。増穂ICから北寄りの約16キロは既に開通している。



 ■中部横断道開通遅れ懸念 整備推進働き掛け 川勝知事 静岡市長

19日に開かれた中部横断自動車道の連絡調整会議で、静岡、山梨両県を結ぶ区間の開通が当初予定の2017年度より遅れる可能性が示された。道路ネットワークの広がりに期待する静岡県側からは、事業の遅れを懸念し、早期開通を強く望む声が上がった。

 同区間は国土交通省と中日本高速道路が分担して整備中。開通すると、両県間の所要時間を大きく短縮する効果が見込まれる。県などは17年度の開通を見込み、清水港や静岡空港の利用促進に向けたセールス、PR活動に力を入れていた。

 会議内容の報告を受け、川勝平太知事は「事業進捗(しんちょく)について大変心配している」とコメントした。事業者に対して全体工程の精査を求め、「山梨県や沿線市町と連携しながら整備推進を働き掛け、必要な調整についても協力していきたい」とした。

 静岡市の田辺信宏市長もコメントを発表。「観光需要の創出など波及効果は大きく、旧清水市の時代から市民とともに大きな期待を寄せていた。会議で報告された内容については大変危惧している」とし、一日も早い開通を働き掛ける姿勢を示した。