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相続税の払いすぎ?「広大地評価」で最大65%の減額を!

 相続税には還付請求という制度があるのはご存知だろうか。仮に一度申告してしまった相続税の評価額が高すぎた場合、申告期限から5年以内に還付請求をすると、納税した相続税が戻ってくるという制度だ。

 高すぎる相続税を申告してしまうケースとして最も多いのが広い土地を「広大地評価」にせずに、そのまま申告してしまうケースだ。

 広大地評価は減額効果が大きいため、当局の審査が厳しく否認されるケースもある。そのため、広大地の可能性があるのに広大地評価を適用せずに申告しているケースもある。そこで、今回はどのような土地が広大地として認められるのか、見ていくことにしよう。

■そもそも広大地とは何か?

 広大地は周辺地域の標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地であり、開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要である宅地をいう。

 公共公益的施設用地というのは、道路や公園のことだ。建築基準法では、建物を建築するためには、幅員4m以上の道路に間口が2m以上接していなければならない。そのため、広い土地を区画割りして何戸か家を建てようとすると、その土地の中に新たに道路を作る必要がある。敷地の奥まで幅員4m以上の道路を入れ込み、各区画がその道路に2m以上接するとように区画割りしなければならない。

 そうすると、道路の部分は実質的に価値がゼロのため、敷地内に価値がある宅地と価値がゼロの道路が造られることになる。そのため、道路で削られた分だけ全体の土地価格が下がるというのが広大地の理屈だ。

■マンション適地の場合はどうなるか

 このため、広大地の前提となる土地は戸建開発用地に限定される。3F以上の分譲マンションや賃貸マンションを建てることが適しているような敷地には適用されない。このようなマンション素地は一般的に敷地内に道路を作る必要が無いためだ。またマンション用地は敷地がかなり広ければ総合設計制度も適用でき、逆に容積率のボーナスも得てタワーマンションなども建築することができる。

 そのためマンション用地は広いほど市場価値は高まる傾向にある。そう考えるとマンション適地には広大地としての評価減をすることは理屈に合わないため、広大地適用は認められない。

 また、すでにマンションが建っている敷地の他、大規模工場用地や大規模店舗の敷地、ファミリーレストランの敷地など、既に建物が建っているような土地も広大地の適用はできない。

■広大地の要件は

 広大地の基準として、市街化区域内であれば、三大都市圏では500㎡以上、それ以外の地域は1000㎡以上と定められている。悩ましいのは、広大地はこの面積要件しか定められていないため、広大地かどうかは「判断」が必要になるということだ。

 仮に周辺にマンションが建っているような敷地であっても、対象地で本当にマンションが建つかどうか用途地域や高さ制限などの公法上の規制を調べなければならない。

 たまたま用途地域の境目で対象地にはマンションが建てられないケースもある。また郊外では、容積率が200%と定められていても、マンションがあまり売れず、戸建住宅の方が人気のあるエリアもある。このような土地は仮に公法上の規制の上ではマンション建築が可能だとしても戸建分譲用地として開発した方が合理的だ。このような土地であれば市場性の原理から広大地評価を適用するのが妥当であろう。

■まずは広大地かどうかの検討から

 広大地は面積にもよるが、最大で65%の減額までの減額が可能だ。わざわざ借金をしてアパートを建てなくても、広大地評価を勝ち取るだけで評価額を減らすことができるため、その価値は大きいといえる。

 490㎡程度の敷地で、あと一歩で広大地を獲得できる場合には、隣地を買い増して広大地を獲得した方が良い場合もある。専門家に依頼して、申告時に広大地であることの評価意見書を添付して申告するのがお勧めだ。

 土地の有効活用に悩む前に、まずは広大地の適用が可能かどうかを検討してみるのも良いだろう。