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基準地価 23年連続で下落 住宅地、山中湖・都留は上昇 山梨

 県が16日発表した平成27年度県内地価調査(基準日7月1日)によると、住宅・商業・工業を合わせた全用途の1平方メートル当たりの平均地価は前年度比2・7%下落して2万8700円となり、5年度以降23年連続して下落となった。だが、前年度の下落幅(マイナス3・3%)と比べて0・6ポイント圧縮され、山中湖村と都留市の住宅地2地点で上昇、富士河口湖町の商業地でも下落から上昇に転じた地点が出た。調査した不動産鑑定士は「不動産需要が回復している訳ではなく、需要の高い地域と低い地域の二極化傾向にあるため」と説明している。

 用途別に1平方メートル当たりの平均地価を見ると、住宅地は2万5900円で前年度比2・7%下落。過去最高だった4年度の6万6200円より4万円超も下がり、昭和57年度の水準となった。商業地は4万7500円で同2・9%下落。工業地は1万4400円で同2・7%下落して、いずれの用途も平均地価は前年度を下回っている。

 しかし、住宅地では県内で昨年、17年ぶりの上昇地点となった「山中湖村平野字向切詰506番228」の別荘地が、さらに前年度比1・8%上昇して1万1300円となった。また、「都留市古川渡字新井310番4」が前年度比0・8%とわずかだが上昇した。このほか、前年度に5地点だった「横ばい」が今年度は8地点に拡大した。横ばい地点は、富士山眺望がよい富士河口湖町大石の民地や鳴沢村の別荘地、山梨大付属病院に近く、周囲に大型店がある中央市若宮など。

 不動産鑑定士によると、上昇地点の山中湖村の別荘地は湖畔に近く、高級感を漂わせる建物が並び、物件に動きが見られる。都留市では周囲に分譲地が増え、土地の動きが活発化している。富士河口湖町大石の調査地点では下落から横ばいに転じた。富士山眺望がよく、人気で今後地価が上昇するとみている。

 商業地で上昇したのは「富士河口湖町船津字市道3634番2」。前年度の2・0%下落から2%の上昇に転じ、5万1000円となった。周囲には企業や金融機関が並び、富士急行線河口湖駅前という立地で富士山の世界文化遺産ブームで活況を呈していることが地価に反映されたようだ。工業地は調査14地点すべてが下落したが、甲府市内では景気の回復傾向から新規需要もあり、下落幅に縮小がみられる。

 地価調査は県内27市町村を対象に、住宅地194、住宅見込み地10、商業地46、工業地14に林地8を加えた計272地点で行われた。