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インドネシア政府、不動産市場の外国人規制緩和を検討開始

 インドネシアは、不動産市場の規制緩和を検討している。外国人の不動産所有促進による市場拡大や税収増などが目的で、政府は年内にも最終的な緩和案を発表する方針だ。不動産業界からジョコ大統領への要請が実った格好で、規制緩和によって住宅開発が進み、建設など関連業種を含めた成長につながると期待されている。現地紙ジャカルタ・ポストなどが報じた。

 同国の土地所有権は主に数種類に分かれており、現在のところ、外国人に認められているのは「使用権」のみだ。

 使用権は25年の期限付き(20年の延長可)となっているが、政府はこの期限の延長、あるいは撤廃に踏み切る方針で、外国人による土地の購入・所有・相続の権利拡大を認めるもようだ。

 しかし、同国政府はインドネシア国籍の保有者のみに認められ、代々相続される権利である「所有権」は外国人に対しては認めないとしており、対象となる物件も土地付き住宅ではなく集合住宅に限定する方向。不動産バブルを回避するため価格はインドネシア人にとって高価格帯に相当する50億ルピア(約4150万円)以上とする案が有力視されている。

 こうした政府の緩和方針を不動産業界は歓迎している。地場不動産開発会社クラウン・グループの幹部は、国内経済が停滞するなか、規制緩和で外国人を市場に呼び込めると指摘。「外国人向けに新たな市場が生まれ、不動産開発のレベルも世界に通用する水準まで引き上げられる」と期待を表明した。

 また、地場開発大手ガプラ・プリマ・グループの幹部は「外国人が購入できる物件は集合住宅の2階以上で、面積も100平方メートル以上とすべきだ」と具体的な条件を示したうえで、規制緩和で2割程度の市場拡大が期待できると見通しを示した。

 フェリ農地・都市計画相は7月に「不動産価格は変動するもので、価格設定は意味がない。住みたい物件を自由に購入できるようにする」と述べたあと、「経済特区内では土地付き住宅の購入も認める」と8月にも発言するなど、より幅の広い緩和も示唆している。

 インドネシアは4~6月期の成長率が4.67%となり、1~3月期の4.72%から減速した。経済成長の鈍化が懸念されるなか、不動産市場の活性化を願う不動産業界は、政府の規制緩和策が最終的にどのような形になるかに注目している。