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100万人へ「定住」こだわらず 交通網整備で交流人口拡大見込む 山梨

 後藤斎知事は15日、記者会見して、45年後の平成72年を見据えて策定した、本県が目指す将来の方向と人口展望に関する「山梨県まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」を明らかにした。人口の捉え方としては本県への経済貢献、愛着・帰属意識の高い人を「リンケージ人口」とし、生活拠点が県内にある定住人口に加える「やまなし共生・連携人口」という新しい山梨モデルの人口概念を示した上で、人口100万人を目指すとした。

 知事は国立社会保障・人口問題研究所の推計で県人口は現状のまま推移すると72年には約50万人にまで落ち込むとしているが、今年5月に実施した県民アンケートで得た「希望出生率1・87人」(26年出生率は1・43人)を実現するための施策展開で、国の目標水準を上回る約75万人まで引き上げることが可能とした。

 また、「東京圏に隣接する立地、39年に開通が予定されるリニア中央新幹線や、中部横断自動車道などの高速交通体系の整備によって本県のポテンシャル(可能性)は一層拡大する」と語り、観光・経済で交流人口を拡大させる必要があるとした。交流人口では経済的貢献度、愛着・帰属度が高く、将来定住につながる人を含め「リンケージ人口」とする考え方を示した。この手法で計算すると72年にはリンケージ人口が25万5千人となり、現在の推計4万4千人から約6倍に増える。定住人口を加えた「やまなし共生・連携人口」として、目指す目標100万人に届くとしている。

 知事は今年1月の知事選では「100万人都市への挑戦」を公約に掲げた。人口減少が経済活動を縮小させることから、100万人都市の考え方では「定住人口」にこだわらず、本県に経済効果をもたらす人々も人口と位置付け、「連鎖」や「連携」の意味を持つ「リンケージ」の表現を用いた。

 人口ビジョンの実現に関連して、知事は今後5年間の目標やアクションプランを盛り込んだ総合計画素案を15日明らかにした。基幹産業の発展、子育て、交流基盤創造などに関して取り組む考えをまとめている。16日から県のホームページに掲載して、県民から意見を求める。

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 ◆リンケージ人口25万人超に

 県は「人口ビジョン」の中で後藤斎知事が示した「リンケージ人口」の内訳を明らかにした。対象となるのは大別すると、2地域居住人口、県出身者帰郷人口、県外から訪れる宿泊者となっている。

 2地域居住人口には別荘利用者も含まれる。別荘利用者の年間利用日数などを考慮して、2地域居住人口は8400人とした。帰郷人口では県人会会員3万5千人が月1回帰郷して、家族・友人を伴うと、5800人が県内に滞留する。

 リニア中央新幹線の開通で関西方面からの帰省が増えていくことも予想している。宿泊者は観光消費額を定住人口に換算して、3万人と算定。これらの算定方法で推計すると今年は4万4千人となる。

 別荘増加やリニア中央新幹線開通などの影響を考慮し、宿泊観光客が増えていくと、今後のリンケージ人口の伸びは15年後の42年が10万9千人、さらに10年後は13万5千人、72年に25万5千人になると推計している。