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相続税対策よりも「遺言書」 元気なうちに作っておく大切さ

相続税を「争続税」と呼ぶ人も増えている昨今、家族内の紛争で身も心もボロボロに成っているケースが数多く絶え間ない現状である。

何よりも大切なことは、相続税対策より、身内の相続トラブル対策のため、遺言書を書く(残しておく)ことが必要である。

いったん身内で モメだすと家族全員が深く傷つき、信頼関係も崩壊して、平穏だった家庭や親戚付き合いも無茶苦茶に成ってしまう。残念ながら、お金が関わってくると人間は誰しも豹変するものである。

「遺言書さえあれば、こんなことには…」という残念な事例が後を絶たない。

「うちは、まだまだ元気だし…」とか「うちには、たいした財産がないから…」とか、遺言書を敬遠して避ける人があまりにも多い日本国内の人々。欧米のように若い時から死と対峙する習慣がないのが日本国民の特徴でもある。これはある意味、無宗教民族の多い日本の国民性とも言える。

しかし、望む望まないに関わらず、死や認知症は突然に訪れる。

親が認知症に成ってから、遺言を残すように頼む人が多く居ますが、遺言書を書いた時点で親に的確な判断能力があったかどうかは裁判でもよく争われている。その遺言書が無効に成るケースさえありうる。

だからこそ、親が元気なうちに公正証書遺言を作っておくことが重要なのである。

遺言書には「自筆証書遺言」と、公証役場で作る「公正証書遺言」の2種類がある。自筆は書き損じなどで法的に無効に成るケースもあったりするので、出来れば公正証書遺言が望ましい。

その遺言書には財産の行先などの実務的な事柄の後に付言事項欄がある。付言事項欄には「お世話に成った親戚の〇〇さん」や「献身的に介護をしてくれた嫁の〇〇さんに財産を残す」など、心情を込めてメッセージを伝え残す。法的拘束力がないかも知れないが、気持ちをきちんと伝えておくことは必要不可欠である。

モメる遺言書には、気持ちや心情が殆ど表現されていないものが多いらしい。

財産の配分に関して、最も有効で正当なものは「介護」だと言われている。どこの親も子供の世話にはならないと口では言うが、老後の不安は相当に大きい。

負担付き遺言書「遺贈」というものもある。自分の死後に残された妻の余生の面倒やペットの行く末などの不安を解消するために書いておく。そういう割り切り方も出来る。特定の相続人に一定の負担を負わせる代わりに財産を与えるというもので、言わば条件付きの遺産分けである。

様々なケースが考えられるが、遺言書とは、周りの人たちがよりよく生きるため、もめ事を起こさないための大切なツールでもある。

また、政府与党では先日の7月7日に、有効な遺言による相続を条件として、一定額を相続税の基礎控除額に上乗せして控除する「遺言控除」を新設する方針も固めたようである。

遺言を普及させて、遺産相続をめぐる紛争を抑止して、若い世代へのスムーズな資産移転を図ることが狙いだ。早ければ平成29年度の税制改正の実施を目指している。控除額は数百万円で検討しているとのことである。この税制改正により、遺言による相続税が減税に成る日もそう遠くはない。