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相続税に「遺言控除」 政府・与党方針、29年度にも 資産移転円滑化

 政府・与党は7日、有効な遺言による相続を条件に、一定額を相続税の基礎控除額に上乗せして控除する「遺言控除」を新設する方針を固めた。遺言を普及させて遺産相続をめぐる紛争を抑止し、若い世代へのスムーズな資産移転を図るほか、在宅介護の促進などを狙っている。早ければ平成29年度税制改正での実施を目指す。

 8日の自民党「家族の絆を守る特命委員会」(古川俊治委員長)の会合で、葉梨康弘法務副大臣が政府内の検討状況を説明する。

 相続税は、遺産総額から基礎控除額(今年1月から3千万円+法定相続人1人当たり600万円)を差し引いた上で税率をかけて算出される。遺言控除が新設されれば、税金のかからない遺産が増える。制度設計は今後詰めるが、控除額は数百万円を軸に検討する。仮に300万円の遺言控除であれば、30万~165万円の減税となる。

 現在、相続税の課税対象のうち、遺言を残した案件は2~3割程度にとどまっている。紛争に解決コストがかさむほか、不動産処分が進まず、地方の空き家増加の一因にもなっている。

 政府は人口減少や働き方などの社会構造の変化を受け、政府税制調査会などで税体系の抜本的な見直しについて検討しており、来年まとめる中期答申で具体策を示す方針だ。相続控除は家族の在り方にもかかわるだけに、配偶者控除などの税制議論にも影響を与えるとみられる。