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<国税収>21年ぶり高水準 歳出拡大の圧力も

 財務省は3日、2014年度の国の一般会計決算概要を発表した。税収は53兆9707億円に上り、バブル崩壊直後の1993年度以来21年ぶりの高水準となった。14年4月の消費税率引き上げに加え、企業業績の回復や株高で法人税収や所得税収が予想以上に増え、従来の見込み額(今年1月の補正予算案策定時)を2兆2447億円上回った。税収が大きく上振れしたことで、財政規律が緩み、来年夏の参院選などをにらんだ歳出拡大圧力が政府・与党内で高まる可能性がある。

 14年度の税収は、97年度(53兆9414億円)を超え、93年度(54兆1262億円)の水準に迫った。税目別では、所得税が16兆7902億円▽法人税が11兆316億円▽消費税が16兆289億円。

 消費税は、14年4月に税率を5%から8%に引き上げたため、13年度の税収より5兆2000億円増えた。また、所得税の従来見込み額からの上振れは9732億円、法人税の上振れは5186億円、消費税の上振れは6900億円に達した。所得税の上振れは、好調な企業業績を受け、株式の配当や売買益が増えたことが要因だ。

 ただ、財務省は税収全体の上振れ分のうち1兆円は一時的な要因とみている。法人税の上振れのうち、約2000億円は日銀の納付分。消費税の上振れも、財務省が97年度の前回増税時に納付率が落ちた経緯を踏まえ、今回は慎重に見積もっていたことが要因。さらに、今年1月に贈与税の最高税率引き上げや相続増税を控え、駆け込みで贈与が増えたことなども影響した。

 税収上振れを受け、決算後に余る「純剰余金」は1兆5808億円。財政法に基づき、この半分以上は国債の償還に充てられる。14年度の国債発行額は見込み額より2兆円少ない38兆4929億円に圧縮でき、6年ぶりの30兆円台となった。今後は国債の償還に充てた後に残る8000億円弱の剰余金の使い道が焦点となる。

 国内消費の伸び悩みに加え、ギリシャ危機や中国の景気停滞など海外経済への不安も抱えており、景気対策など歳出拡大を求める声が今後強まる可能性がある。6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」は、20年度までの財政健全化計画に歳出抑制額の目標を盛り込んでおらず、抑制が骨抜きになる恐れがある。

 剰余金の使い道について、麻生太郎財務相は3日の記者会見で「補正(予算)の話など今後出てくる部分がある。今の段階でまだどうすると決めているわけではない」と語った。