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江戸以降の街並み残す山梨県甲州市「上條集落」、伝統的建造物群に選定へ

 甲州市塩山下小田原の上条地区に残る江戸時代以降の集落が、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されることが確実となった。文化審議会が下村博文文部科学相に答申し、近く答申通り告示される。かやぶきの「突き上げ屋根」が特徴の独特の外観を持つ民家がまとまっており、日本の原風景を見せている。文化審議会は「価値が高い建造物群」として保存が必要とした。甲州市教育委員会は“歴史的風致”を後世に伝えようと、23日に建造物群見学会を予定している。

 重要伝統的建造物群保存地区の選定には、(1)建造物群が全体として意匠的に優秀である(2)建造物群と地割が旧態を保持している(3)建造物と周囲の環境が地域的特色を顕著に示している-のいずれかの基準が求められる。

 上条集落は(3)に該当する。甲府盆地を望む山麓の南斜面に建造物群があり、保存選定地区面積は約15・1ヘクタール。13軒の民家があり、このうち11軒が選定基準の形態を残す。集落成立時期は明らかではないが、地区内の観音堂に安置されている木造百観音像に関係した史料などから、江戸時代中期には現在とほぼ同規模の集落があったとされる。民家は里道に面し、家の周囲には畑がある。各家の敷地は細長く、中央に母屋を構えているのが特徴。

 江戸時代、地区の人々は畑作を中心としていたが、明治中期以降は養蚕が盛んになり、母屋の屋根裏で養蚕を行うために大屋根の上に採光、換気のための突き上げ屋根を設けた民家形態を現在も見ることができる。

 文化審議会は地域独特の形式を持つ民家が周囲の自然環境とマッチして、江戸時代以降の伝統的集落の形態をとどめ、保存価値が高いとしている。

 甲州市教育委員会が23日に開催する「上条集落」の見学会は、午前9時~正午の予定で行われる。参加する際には出発時刻の午前9時までに、同市塩山下小田原の福蔵院駐車場に集合する。

 昼食を持参すれば、集落内のかやぶき民家を活用した「甲州民家情報館」内で食べることができる。参加無料。歩きやすい服装で参加する。事前の申し込みは不要。問い合わせは、同市教委文化財課(電)0553・32・5076。