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地価も景気も外国人頼みの構造が鮮明に

 2015年の公示地価(1月1日時点)が先月発表されたが、東京・大阪・名古屋の3大都市圏が住宅地、商業地とも2年連続で上昇するなど回復の足どりが鮮明になった。

 今年の特徴は、「集客」をキーワードに各地で地価が大きく上昇した地点が多く現れたことである。北陸新幹線開業による集客増期待から金沢駅前では17.1%の上昇となったほか、中央リニア新幹線の開業に向けて大きな期待が出ている名古屋駅前や、「爆買い中国人」が多く集まる東京・銀座など大都市の中心部では軒並み2ケタの上昇となった。

 住宅地は、全国平均では、住宅地は0.4%の下落だったが、商業地は7年ぶりに横ばいとなった。

 住宅地で下落率の縮小や地価上昇がみられるのは、低金利や住宅ローン減税などの政策効果で住宅需要が下支えされているからだ。株価の上昇による資産効果や、相続対策のためのアパートなど共同住宅の需要が増えていることも大きい。

 東京圏では半数以上の住宅地が上昇しているが、上昇率は0・5%と、前年の0.7%から縮小している。これは消費税増税の影響が出ているとみられる。増税の影響で住宅需要が減少し、2014年の住宅着工戸数も前年比マイナス9.0%と落ち込んだことも、住宅地の上昇傾向にブレーキをかけているようだ。

 住宅地は東京23区で上昇率が前年より0.1ポイント伸びて1.9%となったが、他のエリアはおおむね上昇率が低下した。23区の中でも千代田区・中央区・港区の「都心3区」はいずれも6%台の高い上昇率だった。

 東京都心部では湾岸地区のタワーマンションの売れ行きが好調だが、資材高騰や人件費の上昇で工事費が上がっているため、物件価格は上昇しつつある。不動産経済研究所(東京・新宿)が4月16日に発表した3月のマンション市場動向調査によると、首都圏の新築マンション発売戸数は前年同月比4.0%減の4457戸と、3カ月連続で減少した。こうしたコスト上昇などが影響しているものとみられている。

 一方で商業地については、上昇地点が増え、上昇率も伸びている地域が多い。東京圏では約8割の地点が上昇している。商業地の地価回復の主な理由としては、低金利で資金調達がしやすくなっていることや、景気回復が緩やかに続いていることがあげられる。都心を中心に商業地をマンション用地として利用する動きや、海外からの不動産投資が活発化していることも商業地の地価を押し上げている要因だ。

 不動産業界によると、円安の影響で海外から見た割安感が高まった結果、アジアの国や地域を中心に、東京の不動産を買いにくるケースが近年目立つという。地価も景気も「外国人頼み」の構造が鮮明になっているといえそうだ。