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精保センターに「自殺防止センター」 相談から人材育成まで 山梨

 県民の自殺者数が年間200人前後という状況が続き、県人口10万人当たりの自殺死亡率が全国平均を上回っている。県は県民の自殺者数減少を目指す機関として、県立精神保健福祉センター(精保センター、甲府市北新)内に新たに「自殺防止センター」を設け、9日に開所式を行った。保健師らの専門スタッフを配置して、医療機関などと連携、相談業務のほか県民が身近な人の異変に「気付き」、専門家へ「つなぎ」「見守る」取り組みを展開する。

 県障害福祉課によると、県民の自殺死亡率は平成25年度は全国7位となった。自殺の動機は健康、家庭、経済、生活問題などとなっており、自殺を防止するには多岐に渡る対策が必要となる。

 自殺防止センターの業務は、自殺実態に関する調査・研究、自殺未遂者や心に悩みを抱える人への相談・支援、自殺志願者に水際で思いとどまるよう促す「ゲートキーパー」などの人材育成、自殺防止に関する情報発信・情報提供など。

 精保センターは精神疾患のある人の支援機関。自殺防止センターでは精保センターの精神科医、精神保健福祉士、保健師らと綿密に連携して、相談機能を拡充する。人材育成では市町村の民生委員や自殺の名所とされる地域の住民らとの連携が自殺防止につながるため、自殺をしようとする人の“SOS”サインを見抜くなどの能力を養成する。

 9日の開所式に出席した後藤斎知事は「24年度に県自殺防止対策行動指針を策定し、防止効果を高める機能として自殺防止センターを開設した。関係機関と連携し、自殺防止の司令塔として役割を果たしたい」とあいさつし、自殺のない社会を実現する意志を示した。小石誠二精保センター所長は「地道な活動だが、自殺する当事者だけでなく、(自殺は)県全体の問題としてとらえたい」と話し、民間団体などの協力を得て広範囲で対策を進める方針だ。

 自殺防止センターの業務は月~金曜日、午前8時半~午後5時15分。(電)055・254・8651。