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想定死者数、10年間で半減=首都直下地震、減災目標を追加―対策基本計画見直し

 政府は31日の閣議で、首都直下地震に備え2014年3月に策定した対策の基本計画の一部見直しを決定した。東日本大震災を踏まえた最新の被害想定に基づき、減災に向けた目標を追加。住宅耐震化率向上など、この10年間に講じる対策により、最大の数として現在想定する死者2万3000人、全壊・焼失する建物61万棟をともにおおむね半減させる。今年中に全中央省庁の代替庁舎を確保するなど、首都中枢機能の強化策も打ち出した。
 政府は昨年3月、東京、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、山梨、長野、静岡の10都県309市区町村を同地震で大きな揺れが発生する可能性がある緊急対策区域に指定。減災目標達成にはこれらの自治体の協力が不可欠となる。
 津波による甚大な被害が指摘される南海トラフ巨大地震と異なり、首都直下地震では揺れによる被害が大きいとされる。政府は二つの半減目標に対し、建物の耐震化が最も効果的と判断。計画では、08年の全国推計で約80%だった住宅と大勢が利用する建物の耐震化率をいずれも20年には95%まで向上させる。
 309市区町村の木造密集地域では、いったん火が出ると燃え広がる恐れがあるため火災の防止策にも力を入れる。大震災で報告された火災では、揺れで電気ストーブが倒れるなどして起こる「電気火災」が全体の6割以上を占めた。そこで地震の揺れを感知して通電を遮断する「感震ブレーカー」を24年度に25%まで普及させる。
 さらに石油コンビナートが連なる千葉や神奈川などの臨海部では、大規模な火災が起こる恐れがあり、海路を利用した医薬品などの物資輸送に影響が出ることから、出火対策に力を入れる。油による火災に効果的に対応できる特殊な消火機能を備えた「ドラゴンハイパー・コマンドユニット」を18年度までに全国で12部隊編成する。
 地震が起きても日本の政治や経済の要となる首都の機能を継続させるため、中央省庁をはじめとする行政機関の防災体制強化も図る。全省庁で、16年までに発生時に防災業務に当たる職員を呼び集めたり安否を確認したりするシステムを導入、こうした参集職員ための備蓄品を1週間分確保する。庁舎が被災した場合に備えて、今年中に代替庁舎を確保することも盛り込んだ。
 自治体や企業の業務継続計画(BCP)の策定推進の目標も設定。24年度までに全国の大企業はおおむね策定を終わらせ、10都県と309市区町村も完了させることとした。