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川床で楽しむ日本の夏 山梨・笛吹市が「ミズベリング」構想

笛吹市の倉嶋清次市長は、川を活用して水辺に人が集う「ミズベリング・プロジェクト」構想を発表した。市内の石和温泉街を流れる「近津(ちかつ)用水」に京都の鴨川や貴船川をイメージした納涼座敷「川床」を作り、夏は涼みながらワインを楽しみ、「足湯カフェ」のある「ミズベ公園」などを整備して、ミズベリングツアーも開催する。平成27年度から3年計画で具現化し、事業費約35億円のうち市負担分は国庫補助金などを除いた10億円前後。完成後は年間約30億円の経済効果の上積みを可能としている。

 ミズベリングはミズベ(水辺)とリング(輪)を指し、水辺に人の輪を作ることで地域活性を創出できるとの意味を持つ。

 倉嶋市長は「地方の課題は経済をどう浮揚させるかにある。本市は観光の落ち込みが大きく、中心地の温泉街を何とかすれば市全体の活性が図れるだろうと考えた。そこで“川とともに生きる”をキーワードに構想を練り上げた」と経緯を説明する。

 構想によると、今年12月に新駅舎が完成するJR石和温泉駅の駅前通りを冬季にウエルカム・イルミネーションで飾る。春には桜並木が美しい近津用水沿いも落葉期にイルミネーションで飾り付ける。夏季には近津用水の川面に「川床」を設け、観光客に日本の夏の風情を提供するほか、川下りイベントを催す。

 駅から温泉街へ通じる途中には「花のミズベ公園」を整備して、足湯や果実直売所、川中島合戦をイメージした戦国ミュージアムを建設する。日帰り客も楽しめるよう駐車場を整備し、下流の「労報(ろうほう)橋」の幅員を大型バスがすれ違えるよう架け替える。

 また温泉街南側を流れ、毎夏16万人の観光客を集める花火大会が開かれる笛吹川の笛吹橋-鵜飼橋1・5キロ間の護岸には親水性を高める階段堤防を整備する。

 既存の階段堤防(長さ約200メートル)があるが、拡大することで花火大会では大玉の打ち上げが可能になり、見物の観光客を増やすことができるとした。土手にはオープンカフェを開く予定もある。

 石和温泉の年間宿泊客はピーク時に180万人だったが、最近は100万人前後に減少。構想の具現化で20万人増を狙う。