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<笹子トンネル事故2年>「企業責任を問い続け」勉強会

◇JR福知山線脱線事故遺族らと交流重ね

 山梨県大月市の中央自動車道・笹子(ささご)トンネルで2012年12月に発生した天井板崩落事故で娘を亡くした夫婦が、JR福知山線の脱線事故などの遺族らと勉強会を通じた交流を重ねている。主要テーマは「企業などの責任をいかに問うていくか」。夫婦は、企業の責任を明確にすることで「理不尽に命を奪われない、安全な社会につながる」と考え、勉強会に足を運んでいる。笹子トンネル事故は2日、丸2年を迎える。

 兵庫県尼崎市で11月22日にあった「組織罰を考える勉強会」。参加者約15人の中に、笹子トンネル事故で長女玲(れい)さん(当時28歳)を亡くした松本邦夫さん(63)と妻和代さん(63)=兵庫県芦屋市=の姿があった。

 勉強会は、尼崎市で05年に起き計107人が亡くなった福知山線脱線事故の遺族の呼びかけで、今年3月に始まった。京都府福知山市の花火大会会場での爆発事故被害者の会など複数の事故の被害者が集う。

 邦夫さんは「遺族になって初めて、他の事故に本当の関心を持った」と語る。誘われて勉強会に参加した。終了後の交流会で言葉を交わした。「我が子を失った悲しみ」「責任の所在をあいまいにされる理不尽さ」--。心情は同じだった。邦夫さんは「『遺族』になったことで生まれた出会いや、つながりが支えになる」と話す。

 笹子トンネル事故の遺族らは13年2月、当時の中日本高速道路の社長らを刑事告訴し、同5月には同社や役員らを相手取った損害賠償請求訴訟を横浜地裁に起こした。中日本高速側はこの訴訟で、管理者としての責任は認めたものの、事故が予測できたかという「予見可能性」を認めていない。

 22日の勉強会で、邦夫さんは予見可能性の立証が、遺族側にどの程度求められるのかとの質問を、法律の専門家に投げかけた。「事故を個人的な出来事にせず、社会が安全を重視するきっかけにしたい」【藤河匠】

 ◇笹子トンネル天井板崩落事故

 2012年12月2日、中央自動車道上り線・笹子トンネルで、上部のコンクリート製天井板が崩落。20~70代の男女9人が死亡し、2人が重軽傷を負った。若者5人の遺族が13年2月、中日本高速道路(名古屋市)の当時の社長らを刑事告訴。山梨県警が業務上過失致死傷容疑で捜査している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141201-00000039-mai-soci