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北杜の津金学校で「ニッポンの前掛け展」 日本が誇る美意識130点

日本の伝統的な仕事着「前掛け」の商業デザインとしての価値や機能美を紹介する「ニッポンの前掛け展」が、北杜市須玉町の津金学校で開かれている。国内屈指の収集家である写真家、オオタマサオさんのコレクションと、日本で唯一という前掛け専門の企画製造販売会社「エニシング」(東京都小金井市)による製品のほか、山梨、長野両県の酒蔵の前掛けなど約130点を展示。「クールジャパン」として海外から注目される魅力にも迫っている。30日まで。

 オオタさんは北杜市と東京都小金井市に住居を構え、明治から昭和初期を中心とする古い前掛け約350点を所有する。オオタさんが展覧会の形でコレクションを公開するのは初。収集品の中から、酒やみそ、しょうゆなどの食品メーカーをはじめとするさまざまな企業が自社の屋号や社名、商品などをデザイン化した前掛けを出品しており、中には100年以上前のものや現存しない企業のものもある。

 エニシングからは、同社が手掛けた現代のオリジナル前掛けを出品。ヒーローものや現代アートがデザインされたもののほか、海外のレストランやバーで店員のユニホームや店内装飾に使われているものもある。

 会場ではほかに、山梨、長野両県の酒蔵14社から出品してもらった各酒蔵の前掛けや、前掛けを仕事着やファッションとして取り入れている国内外の人々の写真も紹介している。

 エニシングの西村和弘社長によると、日本の前掛けは江戸時代になって現在のような形になり、1950~70年代の経済成長とともに一気に広まった。前掛けの役割としては、広告宣伝媒体▽腰を痛めにくくする骨盤の安定▽木箱の破片やくぎなどによるけがや着衣への汚れ防止-の3要素があるという。

 製造方法は、綿の糸を縦と横で交互に交差させて生地を織り、型紙とのり、染料を使ってデザインを施し、ひもを付けて完成させる。ただ、「現在の産地は愛知県豊橋市の1カ所で、職人も十数人が残るのみ」と西村さん。

 前掛けの魅力について、オオタさんは「前掛けは日本人の伝統的な美意識が反映されながらも、アバンギャルド(前衛的)な商業デザイン」と語る。西村社長は「前掛けのデザインからは、時代の雰囲気を感じることができる。江戸時代に実用品として形作られた前掛けだが、今では海外でも親しまれるようになった。展覧会を通して、時間や空間を超えて広まる日本の誇る文化の一端を感じ取ってほしい」と話している

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141128-00000006-san-l19