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家電業界は特許重視へシフト 日系企業も中国企業も

日本のパナソニックや東芝などの家電大手が、最近は特許をめぐる新業務に取り組み始め、低迷が続く家電業務からの脱出をはかっている。中国の家電大手も近年は特許の発展で急速な成長を遂げている。価格戦争が徐々に業界をむしばんでいる中、特許が醸成する大きな戦いが徐々に始まりつつある。「北京商報」が伝えた。

▽日本企業は家電から特許へ

世界の家電業界にあって日に日に衰退していく日本の家電メーカーは、特許の役割をますます重視するようになっている。目下、パナソニックや東芝を含む大手が、特許技術を事業とみなして取り組むようになっており、業界で広く注目を集めている。

パナソニックは9月初めに特許などの知的財産権業務を主業務とする子会社を設立し、10月から稼働させた。これまでは知財権関連業務は複数の部門に分散していたが、このほど本部に集約した。そこには特別な意義と目的がある。

日本の老舗家電メーカーの東芝も、今年に専門的な機関を設置して、「休眠状態」にある特許から利益を生み出すことを計画している。テレビ事業とパソコン事業の大幅な削減も行った。パナソニックの新会社は「パナソニックIRマネジメント」で、特許の出願、管理、譲渡の交渉などが主な業務だ。将来的にはパナソニックグループの知財権業務は、すべてこの会社が取り扱うことになる。

専門家によると、中国家電メーカーが価格戦から技術戦、省エネ戦、イノベーション戦へと向かう流れが明確になるにつれて、特許は企業が獲得に向けて争う戦略上の高みになっている。騰訊(テンセント)の創始者の一人で、最高総務責任者(CAO)の陳一丹さんは、「今後10年間は、特許をめぐる戦いが国内でも国外でも頻繁に起こり、戦いのたびに企業の興亡があり、業界のリーディングカンパニーが入れ替わり、業界の経営モデルが変化する可能性がある」と話す。

▽知財権構築を重視し始めた中国企業

最近、産業のモデル転換・バージョンアップと市場競争という二重の圧力にさらされて、中国家電メーカーが知財権トラブルに見舞われるケースが増えている。特に家電分野では外観デザインのパクリや模倣といった事例が目立ち、特許権侵害の知財権トラブルが頻発している。

資料によると、広東省の仏山市中級人民法院(地裁)では、2013年だけで(家電メーカーの拠点が多くある)順徳区での家電の特許権侵害案件を100件以上受理した。同省江門市蓬江区法院が提供したデータでは、今年1~8月に同法院が受理した商標権侵害案件は30件を超え、このうち6割で権利を侵害したとして訴えられたのは小型家電製品だった。

家電サイト・口碑家電網の関連部門の責任者・張金寧さんは、「特許トラブルはここ数年は増加傾向が明らかで、家電産業の秩序ある競争やイノベーションの発展を制約している」と話す。美的集団だけでも、昨年に処理した知財権トラブルは181件に上り、金額は8049万4500元(約14億3610万円)だった。このうち特許に関するものが98件、商標権に関するものが82件、不当競争に関するものが1件だった。同集団関連部門の責任者は、「家電製品寿命の短期化が進んでいるが、司法による知財権の保護は長い時間がかかる」と話す。

張さんは、「このような家電をめぐる権利侵害は主に利益につられて行われるものだ。ニセ物の製造コストは正規品より明らかに低く、作る者と売る者は大きな利益を得ることになる。一部の消費者は値段の安さに目をくらまされて、製品が権利を侵害していないか、潜在的な危険性がないかなどを考えずにニセ物を買い、ニセ物を使っている。また市場の監督管理の不十分さがニセ物企業に付け入るスキを与える。現在、関連部門の小型家電市場に対する監督管理は不十分で、中小都市の都市部と農村部の境界エリアでこうした傾向が特に目立つ。

▽知財権の整備 産業のハードル引き上げ

特許戦争が一触即発の状態にある中、国内では知財権戦争への準備が鳴り物入りで行われている。国家知的財産権局がこのほど認可した国内で唯一の家電の知財権に対応した家電知的財産権快速権利保護センターが順徳区に建設される予定で、家電メーカーの知財権トラブルの解決に寄与することが期待される。同センターは順徳区に拠点を置くメーカーに迅速な権利保護、迅速な権利委譲、迅速な権利確定のルートを提供し、中でも迅速な権利保護のルートでは特許をめぐる行政や法執行の役割を発揮すること、司法との連携、知財権巡回裁判所の設置に重点が置かれる。

国内の有名家電メーカーは知財権では進んでいる。美的集団特許総監の劉喜鵲さんは、「美的集団は家庭用エアコン、セントラルエアコン、冷蔵庫、洗濯機を含む白物家電のすべてで特許を応用しており、特許の転化率は90%を超える。5年前の特許出願では外観デザインに関するものが3分の2を占めたが、ここ2年ほどは実用型の特許が3分の2を占める。ここから技術面で特許の占める割合がますます大きくなっていることがわかる」と話す。格力電器は現在、国内外の特許6千件以上を保有し、発明特許は1300件を超える。11年だけで出願件数は1480件に上り、一日平均4件の特許を生み出していることになる。

家電アナリストの梁振鵬さんは、「日本の家電大手と国内の家電リーディングカンパニーは特許の役割をますます重視するようになっており、家電産業のハードルを大幅に引き上げた。今後は他社製品をパクリしたり模倣したりする企業はより大きな法的リスクを負うことになり、家電産業は優勝劣敗の傾向が加速し、市場にも強者がますます強くなるという現象がみられるようになる」と話す。(編集KS)

「人民網日本語版」2014年10月31日