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富裕層は「これ」を利用し、贈与税から逃れている!

・パナマ文書、タックスヘイブンとは何か? 
・富裕層はどんな税金対策をしているか? 
・世界ではどのような脱税行為が行われているか? 
 
国税最強部門、「資料調査課」(税務署では調査できない困難案件、例えば大口、悪質、海外、宗教事案などを扱う部署)出身であり、タックスヘイブンの実情を描いた最新刊、『税金亡命』の著者でもある佐藤氏が、本連載で実情を語る。

 前回に続いて、富裕層の税金対策を詳しく見ていこう。

● 「5年ルール」による財産贈与

 数年前までは、贈与を受ける人が非居住者(非居住期間が5年以上の者)で、贈与する財産が海外にある財産ならば、贈与税が課税されなかった。そこで脱法スキームが横行して、国が最高裁で負けたのを機に法律改正がされた。

 改正後は、贈与をする財産が海外にあっても贈与をする人と贈与される人がともに非居住者であることが要件となった。

 そこで、改正法に合わせるように、親子で海外脱出した上で贈与を行うという現象が見受けられるようになった。注意が必要なのは、脱出するのはどこの国でもいいという訳ではない。

 脱出する国に相続税がないこと、キャピタルゲインが非課税である、脱出先の税制が国外所得非課税だったりする必要がある。フレキシブルにスキームを構築する必要があるからだ。

● 「非居住者」の判定基準は? 

 そして重要な問題がある。無事に「日本の非居住者化」が出来たかどうかは、誰も保証してくれないという点である。

 日本から海外に移転して1年以上すれば非居住者になるはずなのだが、課税当局は生活の状況、家族の状況、財産の状況、仕事の状況などを「総合勘案」して居住者判定を行っている。この「総合勘案」とは、具体的にどんな基準なのだろうか? 

 サラリーマンの海外勤務案件は、出国時に「非居住者化」が完結するが、事業者や資産家については出国後1年以上してからが非居住者のスタートになる。

 住民票だけ外国に転出したことにして、当の本人は日本にいるというのは論外だが、非居住者化については相当の注意が必要で、実行可能な計画を策定する必要がある。

 それと、日本に183日以内の滞在であれば、居住者認定されないという「都市伝説」があるが、これはいただけない。短期滞在者免税の規定であり、非居住者判定の要素にはならないからだ。あくまで「総合勘案」により判定される。

 では、脱出先はどこがいいのだろうか? 

 「日本から近くて、諸条件を満たす国または地域、さらに生活環境や金融インフラも問題ないところは? 食事もそこそこ旨くないと……」と考えると、やはり香港やシンガポールではないか。ハブ空港を擁する両エリアはフライトでの移動も非常に便利である。